αルート一話シーンプロット

目を覚ますと、世界が変わっている。


シーン1 - 獣と心臓

誰の / 何の夢なのかも判らない。
自分一人の夢なのか、誰かと共に見ている夢なのか、
そもそも誰の夢でもないのか、それも判別がつかない。
唯一確かなのは、全身を燃やし尽くすような強烈な感覚だけ。
こんなにも自分の存在を感じているのに、肝心なものが“ここ”にない。
狂っている。奔っている。“それ”を求めて駆けずり回っている。
判ること――“それ”は自分の中からは決して生まれ出でない。
一人きりでは得られない――大切なものは絶対に。
手にしなければならない――掴み取らなければならない。
何をおいても。何に代えても。
それ以外のものを全て切り裂き、壊してしまうことになったとしても。
猛り咆える。満たされない餓えに耐えきれず、
無為と判っても開くことを止められない無限の扉を前にして。
爪を立て、こじ開ける扉――その生暖かい手応え。
扉、それは人のいのちで出来ていて。
求めるものは、その中心で脈打っている。
貪り、息継ぎに代え、更に走り続ける。本当に欲しいものを求めて。
感じるいとまもない恐怖にそれでも耐えかねて、離れることを望んでも、
もうその餓えた何かと、自分を切り離すことは適わなかった。
それでも一つ解ること / 見えたもの――繋がったまま、
距離だけが離されていくその苦しいままの過程で、燃え盛るシルエットにぽっかりと開いた虚無、空洞――。

――その獣(けだもの)には、心臓がなかった。


シーン2 - 夢、匂い、欠け落ちたもの

PC1 - 近江


近江が変わってしまった日常を理解するシーン。

内容を思い出せない悪夢から目覚めた近江が時計を見ると、遅刻に近い時間帯。
曜日――平日。急いで学校に向かおうと外に出た時、違和感を感じる。
初めて嗅ぐ匂い――酷く空腹をそそられる。街中に充満する臭い。
人混みに近づけば近づくほどそれを強く感じるが、一体何なのかわからない。
食事は摂ったはず、と思いながら学校に入ると、
クラスメイトとすれ違った瞬間、驚愕の眼差しを向けられた。
聞くと自分は一週間の間行方不明になっていたとのこと。
駆けつけた教員に話を聞かれることになり、警察、病院と巡る内にその日が終わる。
気が気でない内に一日が終わる――その頃には匂いの元が何なのか理解していたから。
すれ違う一人一人が異なる種類のそれを纏っている――“ヒト”としての匂いを纏っている。
“何が起こったのか?”問われる答えに解らないと答える。自分の内側から発される同じ問いに向けても。


シーン3 - 泡沫、熱、不穏の気配

PC2 - 天野 / 登場可能:PC1以外


各所をたらい回しにされる近江の姿をビルの上から見下ろす少女、天野。
“行方不明になっていた生徒が現れた”との報を受け、派遣されている。
手には6月のこの季節に手にするには不似合いなホットのドリンク、冬場のような厚着。

PC3-永山(支部長枠)と通信。須磨や、登場するなら他のPCとのやり取りを介在させてもよい。
中間報告。近江に対する所感と“この件”を継続するかどうかの判断 / 具申。
永山は直接登場でも通信登場でも可。後者なら侵食上昇はない。
継続を伝え、各人のリアクションを終えたら終了。
ここで各人同士の今回のロイスを結んでおくとよい。


シーン4 - 血潮、暴かれ、そして開かれ

PC3 / 登場可能:全員


近江の日常の終わりと、作戦の進行を統合させるシーン。

二日目。渇きと空腹を感じながら目を覚ました。
眠りについた時の不安は、同じだけの餓えへと変わっていた。
食事が味気なく感じる。些末な栄養だけを摂っているという思いがする。
学校への道のり。匂いで何かが辿れてしまうということから目を逸らそうとする。
教室へ辿り着き、浮かなさを隠して友達と付き合い、集中出来ないまま授業を受ける。
やっと過ぎ去った時間、人が減り、僅かに救われた思いがする放課後。
クラスメイトの少女、平丘に話しかけられる。
彼女もまた、期間は短いが行方不明になっていたと友人との会話で聞いていた。

「もしかして……もしかして、ね?近江くん、お腹が減っていたり、しない?」
「二人きりで……話せないかな」

この状況をどうにかする方法が少しでも欲しい近江、応じる。
人気のない校舎裏で、それは起きる。
近寄ってきた彼女、心臓が熱くなる。まずい、と思った瞬間、別の熱が生じている。

「ごめん、ごめんね近江くん」

俯いて、泣きながら謝罪を口にする平丘夢子の声が変質していく。
この時点ではまだ近江は変身に関する選択肢を持っていない。

「君だったら……君だったら食べていいって言われたの、同じ“ヒトを食べたい”と思ってる君だったら」

変身しながら何度も突き立てる爪がやがて目標だった心臓を突き破り、近江の視界が真っ赤に染まる。
強制変身、強制暴走。エフェクト使用、侵食率上昇と共にモブジャーム(夢子)に致死ダメージを与えたら終了。
Dロイス効果により、夢子は強制死亡する。葵-永山-天野正義が登場・介入、シーン5へ移行する。


シーン5 獣たちの戦場

PC4-正義マン / 登場可能:全員


僅かに時間がまき戻り、監視する面々のやり取りの後開始。
(バイサズは変身するまで、事前にそうと確信することは難しい。現場を押さえる必要があった)
判定勝負で暴走近江を止めるシーン。
近江は判定に-2D、5度敗北させることで終了するミニFS判定。


シーン6 - 熱、過ぎ去って

PC3


気絶した近江に血液点滴、飢餓が少し和らいだところで彼を含め、一同に状況説明&ブリーフィング。
自己紹介と掛け合いの場。正義は誰かがほどほどのところで止めつつ翻訳されねばならない。
永山には予めブリーフィング事項をまとめたシートを渡しておく。
内容は以下。

ブリーフィングシート

  1. 近江に、オーヴァード、バイサズとは何かを説明
  2. のち事件背景説明

近江はこの時点で、戦力になれるかどうかは保留、ただし情報収集の手伝いはする、と選択。
情報収集が開始される。


シーン7 - 来る者、去る者、変わる日常

PC2


天野が学校に編入、近江と共に校内から情報収集していくことになる。
平丘夢子はUGNの工作により初めからいなかったことにされる。
空いた机に座ることになるのは天野。美少女転校生。

「有。昼、屋上ね」

どうせ一時の滞在と関係を誤魔化す気のない天野に、近江、慌てる。
反応するどころではなかった近江、束の間日常の空気に呑まれる。

結局放課後会議。何処から情報を掴んでいくべきか。
情報収集項目ポップ、「修学旅行の不明者について-校内編」。噂の収集。

「幸い、私もあんたもこの事に興味持ってておかしくない立場よ。大事になりすぎない程度に頑張って集めなさい」

保温ポットから熱々のお汁粉を飲みながら。

「なに、あんたも欲しいの?あげないわよ、これは私の捕食物なんだから」

照りつける屋上で楚々と熱量を捕食する天野。
近江→天野:感服 / ○隔意でロイスを取得……。情報収集開始。と思いきや。


シーンEX - 薄氷、それでも

NPC - 須磨


初回、当然のように別行動。「効率的でしょ、いいじゃない」『んな訳ないでしょ』着信。
甘味処にて呼び出される二名。合流初っぱなから説教される天野。

「いちおうは任務なんだからちゃんとクラスメイトっぽくする努力しなよねー」
「知らない、そんなの。学校なんてほとんど行ってないし」
「だからこないだ入椅子ちゃんと遊びに行ったんでしょーが。あの感じよ、あの感じ」

近江、先ほどの宣言を撤回して天野へロイス取り直し。好奇心 / ○隔意に変更。
そして、

「――何食べても味気ない?」
「何となくね。あたしもそうだから」
「キミみたく何でもかんでもって訳じゃないんだけどさ。発症前に“美味しいな”って思ったものしか、味わかんないの」
「飢餓云々はおいといて、食べない訳にはいかないから。――生きてる間は」

近江→須磨:○安心感 / 不安でロイスを取得。
須磨→近江:○尽力 / 不安でロイスを取得。


シーンEX - “皇帝”

情報収集を開始した近江。友人達を起点に話を聞いている時、一人の少年から声をかけられる。
上級生、生徒会長。近江も名前と顔を一方的に知っている。
容姿端麗、成績優秀、文武両道、社交的な性格。万事が完璧、堂に入る。
“王子”の異名を更に飛び越えて、ついた渾名が“皇帝”――円城弘也。

「修学旅行の事件のことで、調べているみたいだね」
「ああ、勿論知ってる。あの時は大騒ぎだったからね。生徒会からも行方不明者が出てね。
 ――結局、彼女はいなくなったままだけど。だから、他人事じゃない。
 君が戻ってきたのは僕たちからしても嬉しいし、希望でもあるんだ」
「知り合いを通じて僕たちも関係する子たちをケアしたから、気になることがあれば教えてあげられるよ」
「気にするのは当然だと思う。気がついたら一週間も経っていて、記憶もないだなんてね」

円城は協力を約束してくれ、話を聞かせてくれる。
近江限定の〈情報:噂話〉のコネとして機能。ダイス+2。
また〈知覚〉で判定、目標値9。成功した場合、一瞬、彼から何か引っかかるものを感じる。

情報収集項目詳細

近江有について
何らかの特殊な因子を持つバイサズオーヴァードである。
強い飢餓感は覚醒直後のバイサズには一貫して見られるものであるが、
彼のそれは通常の餓えを遙かに上回る。また比例するように変身体も極めて強力である。
また識閾下分析による捕食対象チェックが成果なし。通常捕食の対象が見つからないため、
現状輸血、そして人肉捕食によってしか飢餓感を緩和する方法がない。
研究対象として重要であると共に、個体としての危険度も高い。
様々な意味で監視が必要になる。このことを誰にどこまで伝えるかは情報収集をしたPCの手に委ねる。
つまり、秘密裏に監視を行うとしても良いし、説明の上で人を付けることにしてもよい。
修学旅行の行方不明者について - 外部調査編
修学旅行先の京都へ向かい、警察関係者と接触。
行方不明者の人数と名簿を入手するが、その際次のセリフを聞く。
「人数についてだが……通報直後の聴取の後で、修正があった。数名、戻ってきていたことが解ったと言ってな」
「不明者リストが作成されたのはその後だ。だから、そのリストからは漏れている生徒がいる」
収集項目ポップ「隠蔽工作の可能性」。
隠蔽工作の可能性
聴取された学校職員を帰路で掴まえ、話を聞いたのち記憶操作。
彼ら自身ある種の認識修正が行われた後である(つまり工作されたのは確実)とわかる。
候補となる生徒数名、特に可能性の高い生徒として「繁野和重」の名が挙がる。
修学旅行の行方不明者について - 校内編
行方不明者それぞれについての噂を聞くことで、大凡以下のことを確信出来る。
-少なくとも日常の範疇では誰も尻尾を出していない→全員が知能犯ということはあり得ないので黒幕が完全統制しているか発症者が限られている
-平丘は意図的にけしかけられた可能性が高い→近江の生存は予定外か予定調和か。いずれにせよ、何らかの思惑が背後に存在する
収集項目ポップ「人が変わった生徒の噂」。
-“この状況で異変が関知できるということは、恐らくそれは罠である”
人が変わった生徒の噂
「繁野和重」、ほか数名。以前は大人しく地味な生徒だったのが、幅を利かせるようになった。
運動に秀で、自信を隠さず、新しい交友関係を持つようになった。

シーン8 - 近江有という少年

PC2


該当情報収集クリアでトリガー。

詳細な検査結果を受け取り、永山、または須磨が天野に監視を命じる。「なるべく彼についていてくれ」との由。
近江の所持するDロイスの名前はまだ明かされない。
今までごく一部のジャームから発見されただけだった因子を持つこと、を永山だけは把握する。
永山、近江にロイス:尽力 / ○脅威を取得。
バイサズとして強力であり、衝動も強く、危険も大きいことだけ天野に伝える。
天野、反発。近江にロイス:執着 / ○憤懣を取得。永山にロイス:信頼 / ○憤懣を取得。相手が須磨だった場合は、ロイス:○友情 / 疎外感を取得。


シーン9 - 正義と獣影

PC4


該当情報収集クリアでトリガー。

現場で、後にαの因子が放つとわかる気配を感じ取る正義と永山。
オーヴァードが調査に来た時点で発動するよう仕掛けられていたトラップにより、モブジャームと判定による演出戦闘。
変身はこの時点では不要と永山が判断する(目標値明示)。


シーン10 - 撒き餌

PC3


該当情報収集両方クリアでトリガー。
永山-GM間のやり取り次第で方法を変えてもよい。
基本提案は「近江を深入りさせて事が起きるのを待つ」。作戦が決まったらブリーフィングシートを事前に面々に配ってからシーン開始。
シートの内容は以下。

放課後、噂の生徒の一人、繁野和重と接触。
近江と天野に知覚で判定。近江目標値4、天野目標値9。
成功:“他の血肉”の匂いがする。間違いなく、人を食っている。それもごく最近。
そのことを問いただすにせよそうしないにせよ、繁野は襲いかかってくる。

「平丘を殺ったからって調子に乗ってる?こっちも転校生には“話を聞け”って言われてるんだ。
 お前を食って、ついでにそっちの転校生も頂くよ。色々聞きながらね」

繁野はUGNの存在を知らない。永山、正義が現れると、怪訝な顔をする。

「誰だよ、あんたら?……まあいいや、餌が増えたと思えば、あァ」
「細かいコトは――全部どウでモいイ!」

取り巻きと共に変身。ジャーム三体とのミドル戦闘。

「そんな……俺が一番だって、言われたのに」
「化け物になっても……俺は、ダメ、のままなんて」
「いやだ……そんなの……」

バイサズを殺さず戦闘不能にすることは極めて難しい。
繁野は確実に死亡、残りはHPをゼロにした後、〈白兵〉〈射撃〉〈RC〉のいずれかで目標値15をクリアすれば捕獲できる。
ただし、捕獲した場合【捕食】フェイズにその分のスコアが加算されなくなる。
戦闘開始前、近江は衝動判定を行う。目標値はDロイスデメリット分を加算して12。
近江の衝動判定に関してはずっと12であることを併せて伝える。
成功すれば戦闘に参加する必要はないが、失敗した場合暴走状態で戦闘に参加することになる。
繁野を倒した後、それ以上の異変は起こらない。
修復班、隠蔽班が動員されたらシーン終了。


シーン11 - 潜む獣

マスターシーン


沈む夕日の中、二人の少年が会話する。要点は以下。


シーンEX - 餓えの淵

PC1


繁野とのやり取り、戦闘のフラッシュバックを夢に見る。
朝、目が覚めた近江(PC1)に情報開示。“皇帝”から感じたのは……。

この情報を元にどう動くかはPCたち次第。
近江の場合、通話。パーティに情報を共有。のち意向。「まずは意図を問いただしたい」「事情を聞いて、可能なら自分と同じようにUGNの保護に入れたい」。
永山は彼の意志を肯定する。ただし今回と同じ監視付き、何かあれば強制介入する。

「失敗の可能性は常に考慮してくれ。その場合、繁野くんの時と同じことが起こる可能性が高い」
「……分かってます。それでも、俺はあの人から直接聞きたいんです」

情報収集の際、コネを使用して判定する場合に、PC1と“皇帝”との交流シーンがあってもよい。
通話終了。登校、意を決して円城に連絡。シーン12へ。


シーン12 - 弱肉強食

PC1


指定した時刻、場所。
それがPCからない場合、昼休みの屋上になる。

「最初に会った時、先輩と話していて違和感を感じたんです」
「繁野と会って、それが何だったのか分かりました。……血の匂いだ」

望まず流され、そこに生を閉じ込められたまま貪られた獲物の血肉、その匂い。

「教えて下さい。先輩がこのことに何処まで関わっているんですか?」

PCが問いたださない場合、円城から切り出す。そして、円城は以下のことを開陳する。

「さて、ここからは僕が君に尋ねる番だ。君は自分の飢餓とどう向き合う?」
「補食を重ねたところでいずれ限界は訪れる。特に君のような人間には、すぐにね」
「僕から接触するつもりでいたけれど……匂いで気付く?どれだけ餓えればそうなるか、君は解っていないのさ」
「――そして、その状態で生き血を、肉を食らうことがどれほど甘美かをね」手首を切り、血を滴らせる。
「FHに来るんだ、近江君。UGNが用意できる人肉の量などたかが知れている。倫理に拘泥するあのような団体に期待は出来ない」
「君には力がある。それを発揮するために――生きるために相応しい場所を、戦場を用意できるのはFHだ」
「平丘を、繁野を切り殺した時、満足を感じただろう?歓びを――そして食欲を」

PC1はここでFHに所属することも可能である。その場合、PC1とPC2,3,4は敵対することになる。結末はダイスが決定する。

近江は拒否する。

「それでも、食べなくて良かったと思った自分がいたんです。俺は、友達も家族も、餌だなんて思いたくない。
 ……知らない誰かにだって、そんな考えは持ちたくない」
「残念だよ。なら、僕は一人で行く」
「ところで……なあ、気付いていたかい?僕は君のことを、」
「一目見たときから、とても美味しそうだと思っていた」

取り出した端末を円城が叩くと、校内の非常ベルが一斉に鳴り出す。
同時に校内各所で同時多発ワーディング。


シーン13 - 狂うもの、抗うもの

PC3


合流シーン。待機する永山隊視点。
リストに載っている生徒全員がバイサズだった。これが異例であるということは、このシーン以前にも知っていてよい。
(例えば情報収集時に「もし全員が発症者だったら?」とPLが考慮し始めたら「その可能性は相当低い」と伝えてよい)
隊を分散することも可能だが、永山の場合、葵を経由して応援を要請。
全員で屋上に合流する。


シーン14 - 虚ろの心臓

PC1


戦闘開始。衝動判定、近江のみ目標値12。
円城はEロイスを二つ所持。

「まさか、僕が食われる側に回るとはね……彼の忠告通りとは、結局は僕も、試されていたということか」
「まあ、いいさ……。君に食べられるんなら、それも面白い……」
「君の選択は間違っていると、いつか知るだろうさ。その時が来るのを、」
「ケダモノどもの胃袋の中で、待つことにするよ」


シーン15 - 昏い空洞(ハート)

飽食度調整、ジャーム化チェックの特殊シーン兼捕食ロールシーン。
捕食用の部屋に入り、今回の事件で得られた、分析済みの人肉を捕食する。
近江はロールとして、円城の肉、繁野の肉、平丘の肉をそれぞれ捕食することを申請する。
天野、捕食は一人でしたい派。真っ先に捕食部屋の使用を宣言し、入っていく。
淡々と捕食し、出てくる。

「私も臭う?」すれ違いざま、近江に聞く。
「私は食べるわよ、これからも。それが、私たちが人間でいるための条件なんだから」

正義マンは二番目か。
永山は捕食を同伴で行うか近江に尋ねる。葵が尋ねてくれる場合は身を引く。
いずれにせよ近江は拒否する。
最後に入り、一人きりの部屋で、近江は三つの命だったものの断片を捕食する。
涙を流す暇も、権利もなく無言で食べる。恐ろしいほどの美味と、全身に広がる安堵感を噛みしめる。


シーン16 - 正義の勝利と次なる敵

PC3、4エンディング


永山と正義マンのエンディング。
光長統括に対し顛末を報告。NPCの光長統括、異例の事態だったことを重く見る。

「今回の件を教唆した存在がいると仮定して、捜査を始める。永山隊全員で事に当たってくれ」
「恐らくはこの件は発端に過ぎん。より厄介なものが蠢いている。勘だ」

早速調査に飛び出そうとする正義マンにブレーキをかけて、まずは休息、侵食沈静を待つように伝える。
正義マンが納得しない場合は更に正義語を用いて説得する。
永山、報告書のコピーを喫煙。事件の大要を反芻しながら退場。
正義マンが任意のロールを終えたら、シーン終了。


シーン17 - 墓標と化した場所で

PC1、2エンディング


少なからぬ被害が出た学校。処理班によって無差別殺傷事件と報道され、休校に。
近江は日常を離れる覚悟を決めた。ニュースの死傷者数は本来よりも一人増え、両親には警察から、近江の死亡が伝えられた。
捕食された生徒たち、そして平丘、繁野、円城の墓標となった学校の屋上で、近江が名残を惜しんでいると、天野が呼びに来る。

「そろそろ行くわよ。あんたの荷物、家が空いてる間に運び出さなきゃいけないんだから」
「うん、ごめん」
「……別に謝らなくていいわよ。予定は予定、仕事は仕事。
 私はあんたのためじゃなくて仕事でここにいるんだから、そんな筋合いないわ」
「うん」

脇に並んで学校を見下ろす天野。

「……あんたのクラスからも死人出たわね」
「うん」
「私はどれがどいつだったか覚えてないけど。あんたは覚えてるんでしょ」
「うん」
「仲良かったのもいたわけ?」
「……うん」
「……」

端末で連絡する天野。少し遅れる、予定時刻の順延を頼む、と。

「もう少しだけよ。時間になったら降りてきなさい」
「うん。……天野」
「何」
「……ありがとう」
「……これからはそんな感傷に浸る時間もないわよ。覚悟してくることね」

天野退場。近江もやがて退場。

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