──僕/私は、あなたを食い殺してでもそれが欲しい。

ひとは欠如を知って人間になる。
欲しいもの、欲しい気持ち、欲しいだれか。
心臓(ここ)にないから手に入れたい。
かけがえがないからこそ奪いたい。
それは当たり前の感情
──何より大切にしなければいけない原初の前提。
余計な箍は引き千切って、
お為ごかしの底は今すぐ踏み抜いて、
キミ自身の寂しさを思い出そう。
終わることのない狩りに繰り出そう。
追い詰めて括って牙を突き立てたら
ほら、温もりは溢れ出てすぐそこに。
教えて──キミが求める大切なものは、なあに?

コンセプト

非発症者に類似した潜伏形態と、並のオーヴァードを大幅に上回る攻撃形態を持つ新型変異種、バイサズレネゲイド。
“ケダモノの因子”と渾名されたそれに魅入られたPCたちは、衝動が招く共食いの前線に引っ立てられながら、いつ終わるともしれない渇望の螺旋を脱出するすべを追い求めていく。
足りないものを思い出してしまった僕らは、元いた場所に帰れるのか?
殺して、食べて、生きて、惑う。
全員“衝動:飢餓”設定で遊ぶ、罅割れだらけのバイオレンスキャンペーン。

キーワード
変身、咆哮、捕食
参考作品
仮面ライダーアマゾンズ、ペルソナシリーズ
使用想定主要ルールブック
基本1,2,エフェクトアーカイブ、リンケージマインド、レネゲイズアージ
適用ルール
Dロイス、Sロイス、ウロボロスシンドローム

導入ハウスルール

変身
本キャンペーンをプレイするPCに適用されるルール。
PCたちは「バイサズオーヴァード」「バイサズ」と呼ばれる存在になる。
侵食率基本値を-10し、オートアクションで「変身」が行えるようになる。
また、バッドステータスの暴走を受けていない場合のみ、マイナーアクションで「変身」を解除できる。変身する度、侵食率を+5する。
変身時以外、PCは《コンセントレイト》《リフレックス》を使用することが出来ない。
変身中は侵食値+20扱いでダイスボーナス・エフェクト制限を適用する。
またシナリオ中、何らかの形でオーヴァードであるかどうかの検査が行われた場合、通常のオーヴァードに陽性反応が出るような検査でも陰性を示すようになる。
専門の研究機関に血液や細胞を送り、調査しない限り、オーヴァードであるかどうかの確証は得られないものとする。
捕食
バイサズオーヴァードに付与される追加モチベーション。同種退治に協力しないと衝動が悪化してジャーム化する。
全員”衝動:飢餓”
バイサズオーヴァードとなったPCは全員、その衝動が”飢餓”に上書きされる。
ただし、飢餓の内容を掘り下げ、「○○という飢餓であるため、ルール上は”衝動:闘争”として処理する」と設定することは可能。
こじつけアリで幅広く楽しみましょう。

設定、用語

変身(Biform / Metamorphose)
正式名称:双極性衝動乖離障害(Bipolar Severed Urge Disorder)。
“オーヴァードという病気”に突如新しく加わった併発オプション。
Az型変異を発症したオーヴァードに一様に見られる、レネゲイド活性の双極性の乖離と、それに付随する特異な能力特性。
英語症名の短縮形から、この障害特性を持つ発症者はBiSUDs、バイサズオーヴァード(ジャーム)とも呼ばれる。
普段の侵食状態は著しい不活性を示し、検査装置に引っかかりづらい他、発揮できる能力も限られる(一部を除きエフェクトを使用することが出来ない)が、精神状態を切り替える何らかの儀式的動作を経ることで様態が切り替わり、爆発的な高活性状態に移行する。
(しばしば何らかの特別な道具使用を介する:モノに能力の施錠 / 解錠が託されることもある)
この際の侵食値は通常のオーヴァードのそれを大きく上回り、また使用するエフェクトも強力化する。
それは当人にとっては、衝動を核とする高ぶり、制御しがたい昂奮を懐から露出させる行為であり、明らかな危険を伴う。
高活性時、シンドロームに寄らず異形を現すのが外見的な特徴で、バラつきはあるものの顔面を定点として半身~全身にウィルスメイドの肉体・皮膚・装甲が出現する。
意匠には多分に個人差があり、後述の“咆哮”と同じく当人の衝動の在り方を反映した形を取るとされる。
なお平時の侵食値の低さにも関わらず生起する衝動が非常に大きいことが知られており、頻度・強度いずれかの初期値が大きくなる傾向がある他、時間経過や変身を行うことで症状が深刻化する。
これを抑えるには後述の“捕食”を定期的に行う必要があるとされる。
咆哮(Howling Effect)
急激、高偏差なレネゲイド活性に伴い発生する音響現象。
変身の完了を告げるかのように鳴り響くことから“レネゲイドの雄叫び”の謂でこう呼ばれるが、必ずしも生物のそれと似ている訳ではなく、無機物の接触・摩擦・破砕音や、楽器のような人間にとって美を連想させるものなど、およそ有機的な要素を感じさせないものも多い。
精神の底にある衝動が境界面に急浮上・露出する際の泡立ちのようなものであると言われ、その音色には本人の衝動の在り方が反映される。
(本人の精神状態の影響を多分に受けはするものの、咆哮=感情の発露そのものという訳ではない。)
発現には、本人の肉体を経由する癒着型と、経由しない切除型がある。
前者は好悪に寄らず衝動を自分自身が引き受ける精神状態を、後者は衝動を切り捨て自分から引き離そうとする精神状態を表していると推測されている。
捕食(Suppressive Predation)
バイサズオーヴァードの飢餓衝動を抑制するために有効だとされている手段。
人間の情動が宿った/込められた物体を摂取することで、欲求を一時的に満足させる。
対象は各人の衝動によって本人の意思に寄らず決定され、当人が捕食対象と認識する限り、毒物であろうと無機物であろうと通常の食事同様に摂取できる。
(ただし捕食したモノからは、栄養素など精神的な満足以外のものを得ることは出来ない)
なお捕食にも効率があり、高効率なものほど欲求満足度が高い───“おいしい”と当人に感じられる。
捕食対象が何であるかは個体ごとに千差万別だが、例外的に、複雑な情動を持ちモノや外部に思念を残す性質を持つ生物───人間、の肉、血潮、臓器、などは、どのような飢餓を持つバイサズにとっても最高効率の捕食対象となり得る。
この「味」への抵抗は非常に難しく、覚醒間もない個体でも食欲を覚えるほど。
そのためバイサズのジャームは食人に走り、また高濃度の情動の塊である同種のバイサズに対し強い捕食欲求を抱く。
またバイサズジャームは衝動とレネゲイド活性によりある種の情動概念と化しており、その血肉を摂取することで、バイサズオーヴァードは一定期間に渡って飢餓衝動を抑制することが出来る。
(このことから、捕食を二つの言葉───「代替食(一般的な捕食)」と「人肉食(文字通りのもの)」とでより狭義に言い分けることがある)
UGNはバイサズジャームに対しても「可能な限り人道的に対応する」姿勢を貫いているが、Az型変異発症者の増大を受けて専門の対策部署が創設されるに当たり、「対象ジャームが死亡かつ協力者バイサズに暴走の危険が認められる場合に限り、捕食はやむを得ない」とする見方を共有した。
この特例許可には関係者間で何らかの政治的取引があったとされているが、真偽・真であったとして支払われたものが何であったのかについては明らかになっていない。
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